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言語聴覚士過去問題の解説など

第19回午前 問題1 言語聴覚士国家試験過去問題

言語聴覚士国家試験過去問題第19回午前
 
問題1 誤っている組み合わせはどれか。
a.緩和ケア ——————————患者の尊厳重視
b.ノーマライゼーション————コロニーでの生活
c.ユニバーサルデザイン————障害者用に限定
d.インフォームドコンセント——自己決定権の尊重
e.ICF(国際生活機能分類)————肯定的側面を包含
1.  a、b  2.  a、e  3.  b、c  4. c、d  5. d、e
 
a:正しい。緩和ケアとは、「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関してきちんとした評価を行いそれが障害とならないように予防したり対処したりすることで、QOLを改善するためのアプローチである。」とWHOで定義されている。緩和ケアの目的は患者が死を迎えるまで積極的に生きていけるように支えることであり、患者の尊厳を重視しているといえる。
b:誤り。ノーマライゼーションの目的は、障害のある人ひとりひとりの人権を認め、取り巻いている環境を変えることによって、生活状況を障害の無い人の生活と可能な限り同じにして、「共に生きる社会」を実現しようとするものである。
c:誤り。ユニバーサルデザインとは、改善または特殊化された設計なしで、能力あるいは障害のレベルにかかわらず、最大限可能な限り、すべての人々に利用しやすい環境と製品のデザインである。つまり、障害者に限定されていない。
d:正しい。インフォームドコンセントとは「説明を受けた上での合意」という意味であり、医師が治療の目的や内容を十分に説明し、患者から同意を得ることである。つまり患者の自己決定権を尊重するものである。
e:正しい。ICF(国際生活機能分類)は、ICIDH(国際障害分類)と違って障害というマイナス面だけではなくプラス面を重視することが大きな特徴である。
 
誤っているのはbとcなので答えは3。
 
 
~おまけ~
ユニバーサルデザインバリアフリーって何が違うの?と疑問に思った方がいらっしゃるのではないでしょうか。
バリアフリーはもともとあったバリアを取り除くこと、それに対しユニバーサルデザインは最初から取り除かれている(特別な調整をしない)ことを指します。
つまり、玄関前の段差にスロープをつけよう!というのはバリアフリーの考え方で、ユニバーサルデザインでは設計時点からスロープを計画して作るということです。
どちらも結果的に玄関にスロープがついているのは同じなのでややこしいですよね。
 
また、バリアフリーが障害者や高齢者など特定の人の生活の支障となるバリアを取り除くことを目的としているのに対し、ユニバーサルデザインは障害があるかないかに関係なく、全ての人が使いやすいように設計されているという違いもあるようです。